みなさん、こんにちは。
ブログに書こう、書こうと思っていて
ついついネタを溜め込んでしまいます。
今日は、その溜め込んだネタの一つでありますが、
私の好きな井出一太郎元官房長官の作った連作の和歌を
ご紹介したいと思います。
「道」
成敗はしばしな問いそたまきわる命をかけて来しはこの道
さらぬだに険しき道ぞ時ありてその道をしも往かざるべからず
いつか誰か行かねばならぬこの道を君し行かずば行く人ぞ無し
一筋の道ひらけいて大いなるものの力に引かるる如し
行き行かば道はローマに通ずべし大道無門と言いにけらずや
損得をかなぐり捨てて立つ道に風さはやけくいさぎよく吹く
窮まらばまなこつむりて谷底へともに飛ばむとちかいてし仲
一国の首相の責めのきびしさは秋風弧杖深淵に立つ
この井出一太郎の連作は、三木武夫に贈ったものです。
三木武夫は、昭和45年の自民党総裁選挙に際し、佐藤栄作の4選に、ただ一人敢然と立ち向かいました。
当時の佐藤栄作首相は、対中国政策や経済政策で行詰っており、世論の閉塞感は大きかったものの、
党内力学的にいえば、佐藤栄作の絶頂期であり、総裁選への出馬は誰が見ても無謀な挑戦でした。
三木は、世論の大きな期待と自分の政治生命を天秤に賭けて迷いに迷ったようです。
井出一太郎は、この連作を三木に贈り、激まし続け、
ついに大義を掲げて立った三木に、宰相の器を見、
その後の政治生涯を三木武夫に懸け続けました。
井出一太郎は、40年近い政治生活を三木と共にし、ついに裏切ることはありませんでした。
最初の和歌の「命を懸けて来しはこの道」という表現については、
明治維新の志士達のように、本当に命を懸けているわけではなく、
言葉を軽々しく使っている、といわれたこともあります。
確かにそのとおりだとは思いますが、ここでは、
命を政治生命という意味に置き換えて解釈したいと思います。
強大な相手に対して敢然と挑まねばならぬとき、
この井出一太郎の連作は勇気と戦う気力を与えてくれるような気が致します。
これを詠まれた皆様のご参考になれば幸いです。